「からだ情報−すこるぶ」掲載記事、ドクターレポート/補完・代替医療の最前線から Vol.19

〜自律神経〜 全身の調整役として働く神経のネットワーク

「からだ情報−すこるぶ」掲載記事、ドクターレポート/補完・代替医療の最前線から Vol.19 〜自律神経〜 全身の調整役として働く神経のネットワーク
トッピックス・バラエティ

執筆者 柯 尚志(こう しょうし)

ペレス・銀座クリニック(東京・中央区)院長/日本遠絡療法医学会会長

鹿児島大学医学部卒業後九州大学病院麻酔科入局、国立九州がんセンター放射線科勤務を経て内科クリニック開業。痛みに苦しむ患者さんが多いことから痛み治療の研究に没頭し、上海中医薬大学国際鍼灸科で研修。その後臨床医の立場から独自の理論「遠絡療法」を開発。痛み治療の旗手として活躍する一方、台湾野球協会医療顧問としてスポーツ医療分野でも活動している。台湾出身56歳。著書に「消痛革命」(土屋書店)など。

トッピックス・バラエティ

自律神経は、脳幹部を下から支える部位「アトラス」を通って、生命運動に関わる機能を司っています。

■■脳を下から支えているアトラス■■

ギリシャ神話にアトラスという名前の巨人がでてきます。天空全体を肩で支える力強い神ですが、身体のなかにもアトラスと呼ばれる部位があります。こちらのアトラスも、ギリシャ神話のアトラス神と同様、頚椎(けいつい=首)の一番上で脳幹部(=頭)を支える位置にあり、自律神経に関わるなど、大切な役割を果たしています。

ご存知の方も多いと思いますが「自律神経」は内臓、血管、リンパ腺などの腺、皮膚、そしてそれらの付属器官の働きを神経的に調節しているとても大切な身体のシステムのひとつです。内臓をはじめとした大部分の器官は「交感神経」と「副交感神経」と呼ばれる2つの神経システムの支配を受けています。この両者の働きは多くの場合、全く反対の働きをもっています。たとえば交感神経が高ぶると「興奮性」が優位に働き、「抑圧性」を司る副交感神経の迷走神経が抑制されるように設計されています。この交感神経と副交感神経は、脳神経から枝分かれするように複雑に絡み合いながら、からだじゅうに張り巡らされています。

■■自律神経の乱れによる諸症状■■

さて「脊椎(せきつい)動物」である人間のからだにおいて、中枢となるのが脳と脊髄(せきずい)です。脳神経は頚椎(けいつい=首)の最上部にあるアトラスの部位を経由し、頚椎・胸椎・腰椎・仙椎を通っていますので、もしアトラスに異常があると、自律神経系にさまざまな症状となって現れます。たとえばアトピー性皮膚炎・甲状腺機能の異常・狭心症・心筋梗塞・気管支ぜん息・胃腸障害・糖尿病・子宮筋腫・便秘症・生理痛・前立腺肥大症・性器痛などです。しかし、アトラスおよび脊椎の異常を調整することによって、その症状を改善することは可能だと私は考えています。

ご自分で鏡に映った姿を見てみましょう。アトラスが正常でない場合は、脳幹部と脊椎がアンバランスになるため、顔の位置が右または左に傾いてしまいます。アトラスに異常があると脳幹部から脊椎への経路が遮断されるため、内臓のどこかに異常が生じるのが一般的です。顔が右に少し傾いている場合は左半身に何か問題があり、左に少し傾いている場合は右半身に問題があると考えられます。

アトラスの調整法(足の外側)(足の内側)(手の内側)

■■流れの停滞と、自律神経系の異常■■

人間の体内には、水、酸素、血液、リンパ液、栄養素、イオンなどさまざまなものが流れています。これらが正常に流れていれば問題ないのですが、これらの流れが渋滞したり停滞するfooterと、まるで山崩れのように、異常な症状となって現れます。これを修復するには、山崩れが起きている「場所」を突きとめることが重要ですが、自律神経系の諸症状を治療する場合、山崩れによって通れなくなった「道」を修復することもとても大切です。しかし残念ながら西洋医学では「道を修復する」という方法が分かりませんでした。

アメリカの※NUCCAでは、アトラスはすべての病気の原因と考え、ドクター資格をもつ先生たちを中心に治療を行っています。NUCCAは外力によってアトラスの調整を実施していますが、私の提唱する遠絡療法では、両手両足に点在する特定のポイントを刺激することにより、アトラスおよび自律神経系に適切な指示を与えるという方法を開発しています。

■■人体とコンピュータ■■

人体は、コンピュータの機能と共通する部分がたくさんあります。むしろコンピュータが人間に近づいたというほうが正しいかも知れません。たとえば両手両足は、コンピュータの「キーボード」に相当します。両手両足には108のポイントがあり、これらを手順通りに操作することによってコンピュータ本体(中枢機能)に指令を与え、それによって人間が本来もっている機能を引きだすことが可能であると考えています。

この治療法は本来、難治性の痛み、重み、しびれの治療を目的として開発された治療法ですが、自律神経系の異常による諸症状を改善する場合にも効果が認められています。なかでも、両手両足のポイントを刺激することにより「遠隔操作方式」でアトラスを調整するという方法は高い治療効果があり、今後一層深い研究と検証が進む分野になると考えています。