慢性的な腰痛と腰の重み
○来院までの経緯 (東京都 24歳 男性)
■17歳の時
学校で運動をしている最中、突然腰痛に襲われたが激しい腰痛は数日で解消した。 これが腰痛の初体験であったが、その後もずっと腰の重だるさが続いた。
■21歳の時
腰痛が再発し、地元の整形外科でレントゲンを撮ったが、医師からは「特に問題はない、 気にしなくていい」と言われた。前回の腰痛は数日で回復したが、この時はその後も腰痛と腰の重だるさが続き、いつまで たっても治らない日々が続いた。
■23歳の時
腰痛と重だるさがいつまでも慢性的に続いていたので、友人にすすめられスイミングスクール に通い、毎日1キロ泳いで腰を鍛えることとしたが、相変わらず腰痛みと腰の重だるさは続いていた。
そこで、都内総合病院の整形外科で再度レントゲン検査をしたところ、医師から 「軟骨に変化がみられる」と言われたが処置は特になかった。医師に腰痛と腰の重だるさを訴えたが鎮痛剤を処方された だけであった。
次に、別の整形外科を受診したが、そこでは医師から「股関節が曲がっている」と言われ、 そこでも鎮痛剤を処方されただけであった。
その後も腰痛と腰の重だるさがあまりに続くため、いったん帰省し地元の病院に通院することと したが、そこでは「腰椎の4番5番に若干の変形がみられる」とのことで、ブロック注射をすることとなった。
その後、ブロック注射による治療を続けたものの、一向に腰痛と腰の重だるさが治る気配は 感じられなかった。
そこで西洋医学による治療はいったん諦め、評判の良い鍼灸治療院に通い鍼治療を続けることと
したが、やはり結果は同様で腰痛も腰の重だるさも治らなかった。
以前医師から「精神的なものがあるのではないか?」と言われたことがあり、当時不眠と微熱に 悩まされていたこともあって、心療内科を受診することとした。幸い不眠の症状は改善されたが、腰痛だけは改善 されなかった。腰痛対策として鎮痛剤を処方されたが、腰痛とそれに伴う無気力感は続いていた。
東南アジアに行った際、気功治療も受けてみたが効果はなかった。また、その後イメージ分析 を主とする催眠療法を受診した。主治医の先生は「幼少期の母親との共感不全が問題」とのことで、数ヶ月で変化すると言われ、 それを信じて通院したが変化は全くなかった。
現在は整形外科での薬物治療と大学の学生相談室でカウンセリングを受けている。
○既往症
20歳当時、「顎関節症」と診断。・・・歯科医でマウスピースを作成。
○処方薬
鎮痛剤・安定剤
○治療希望部位
腰部中央の痛みと重み。・・・前後にひねったときと後屈したときに腰に痛みが走る。
○来院のいきさつ
様々な治療をしてきたが、慢性的な腰痛と腰の重だるさが改善しない為、インターネットで検索し来院に至る。
○治療経過
■初回
- 17歳の時に初めて腰痛が発症して以来、腰痛と腰の重だるさに苦しみ、24歳の今日まで症状が改善されたという経験が一度もないと強く訴えていた。どんな治療でも治らなかったため、当院の治療に対しても始めから「強い不信感」を抱き、警戒している様子が見られた。「ホームページを見て、もう自分にはここしか残されていないと思いました。」と言っていたが、半ば自分の腰痛は治らないものと諦めている様子であった。約7年に渡り痛みが続いたため、自分は特異体質なのではなかろうかという不安感が積もり、どんな治療も信頼できないという諦めの様子であった。
- 初診来院後約45分間問診及びカウンセリングを実施。現在毎日6種類の薬を服用し続けてはいるものの医療そのものに対する不信感が強く、まずそうした不信感を和らげることをカウンセリングの主眼とした。腰痛発症以来、自己没入がひどく常に無気力な状態が続いていたようである。
- 打診の結果、L1,2(督脈)、lC1γ、左L1,2(AyV)、の3箇所を治療することとした。治療後「少し楽になったような気はするがあまり変化を感じない」とのこと。
■2回目
- 前日治療した箇所に加え、L4,5(督脈)、及び右L4,5(AyV)の治療を実施。前回同様、大きな変化は感じられないとのこと。
■3回目
- 2回目と同様に治療を実施。今まで治療後変化が見られなかったが、3回目の治療後初めて「腰が楽になってきています。こんなに腰が軽く感じられたのは数年来で初めてです」と今まで硬かった表情が初めて和らいだ。
■4回目
- 同様の治療を実施。「前回の治療後いかがでしたか?」という質問に対し、「明らかに腰の痛みが楽になっています。3回目の治療後は今日までのところ、ほとんど痛みも重みもありませんね。」と喜んでいる様子であった。
■5回目
- 前回と同様の治療実施。
■6回目
- 前回と同様の治療実施。
■7回目
- どこに行っても改善しなかった腰痛と腰の重だるさが改善し、随分楽になっているという自覚を持っていただけたようである。前回と同様の治療を実施し、今後の治療に関しては本人の希望によって継続治療を行っていくこととした。
○特記事項
この患者さんの場合、慢性的な腰痛が続いたため、精神的にかなり不安定な状態に追い詰められていったようである。当院に来院した時点で毎日6種類の薬を常用しており、こうした患者さんに対し、薬物治療がいかに無力かという意味からも本症例は貴重な症例の一つである。